焼山のコウモリ

 糸魚川市と妙高市にまたがる活火山、焼山(2400m)で、5月上旬に出る雪形。

 

 斎藤義信著の「図説雪形」には「5月上旬になると焼山山頂直下西側に、コウモリが羽根を広げて飛んでいる形が現れる。これが見られるようになると田仕事をはじめる」と書いてある。見られる地域は、糸魚川市西中、西川原、大野である。

 

 確かにコウモリが羽根を広げて飛んでいる形で、白い残雪の形である。

 

 確かに昔から伝承があって、登山家の小島烏水は「日本アルプス」で、「妙高山の『農牛』は甲斐鳳凰山と同じであるし、焼山の蝙蝠は、糸魚川方面からは分明に見えるというし、米山に鯉があらわれると、魚が漁れないという諺もある」と書いてある。明治41年に雑誌「山岳」に発表した文なので、古くから伝わる雪形ということは言える。